P&Co税金のデジタル化ガイド


税金のデジタル化とは? (“MTD”)?

HMRC(英国税務当局、以下HMRC)は税金の処理における高度なデジタル化を目標としています。MTD(Making Tax Digital以下MTD) とはHMRCのデジタル化による税制の転換計画を意味しており、納税者に対してより効果的で効率的な税金の簡易化を目指しています。 MTDは業務記録の精度を向上させさらにエラーを最小限に抑えることを目的としています。

先ずはMTDの第一歩としてVATに焦点を当てています。 HMRCは2019年4月よりVAT登録事業者へ向けてデジタル記録保持のための新たな要件を課しています。


知っておくべき重要事項

2019年4月より課税対象の売上高がVAT基準額(2018年10月現在85,000ポンド)を超える全てのVAT登録事業者は以下の二つの事項を義務付けられます:

  • デジタル記録の保持

    紙上の記録では新しい法律の法的要件が満たされないためソフトウェア製品またはスプレッドシートを用いて会計記録をデジタル形式で保存することが義務付けられます。

  • 互換性のあるソフトウェアやAPIを用いてHMRCに提出する必要性

    HMRCへのVATリターンは互換性のあるソフトウェア(HMRCのAPI)を使用して提出する必要があります。 HMRCのオンラインVATリターンはVATリターンに任意的に登録をしたビジネスにのみ有効です。

  • 上記以外の変更なしの項目

    その他VATに関する規則、またHMRCに提出すべき必要書類、VATの提出期限および支払い期限は根本的な変更はありません。


MTDの開始時期

MTDの開始は2019年4月1日以降の最初のVATリターン期間から対象となります。従来の会計年度および特別VATの会計期間は継続され上記の要件は2019年4月1日以降に開始される最初のVATリターンの開始時を以って適用されます。

デジタル記録とは何を意味するのか?

企業は資料を紙形式で保管し続けることも可能ですがそれとは別に個々の取引き(サマリー不可)をデジタル形式にて記録・保存する必要があります。 HMRCはこれらの取引記録をできるだけ最新の状態に保つことが望ましいとしていますが四半期ごとのデジタル記録の作成も認めています。


デジタル形式で保存する必要のある資料

ビジネスにおける仕入れや販売ビジネス上で行われた物・サービスの供給や受領などの取引全てを記録する必要があります。

  • 売上やサービスなどを提供した場合 

    取引の日付時刻またその価値、またその取引に課税されたVATの税率等全て記録する必要があります。それらの記録は標準レート(Standard Rate)、減額レート(Reduced Rate)、ゼロレート(Zero Rate)、免除(Exempt and Outside of Scope)など該当する分類別にアウトプットバリューとして記録しなければなりません。

  • 仕入れやサービスなどを享受した場合

    取引の日付時刻、また請求可能でないVATを含んだ合計の価値とまた請求可能なインプットバリューを記録しVATアカウントを作成します。これら一連のVATリターンを完了するために互換性のあるソフトウェアを使用する必要があります。

  • 加えて提出すべき情報

    上記の記録に加え事業名や主たる事業所の住所、VAT登録番号、VATリターンをプロセスする際に使用した会計スキームの詳細など、ビジネスに関する情報も含めて記録する必要があります。

取引記録が複数のプログラムで管理されている場合

取引情報が複数のソフトウェア製品等で管理されている場合、それぞれの記録をデジタル形式によりリンクする必要があります。注意しなければならない点はそれらリンクしたプログラム間において情報を手動で転送することはできないということです。デジタルリンクの方法の例は以下の通りです:

免除対象の企業

ショップやレストランなどの小売業やレジ・POSシステムを使用するその他の企業は、個々の取引ではなく日ごとの総売上額(週・月・四半期ベース不可)を記録することが許可されています。これはレジ(POS)システムと経理上の記録間をデジタルでリンクをする必要がないことを意味しており、日々の合計をデジタル上の会計記録に記録することで要件を満たすことになります。

フラットレートスキームはMTD適用後も継続され、その場合享受したサプライのデジタル記録は必要とされません。

政府より指定されているデジタル化除外の項目へ該当する個人についてもMTDの免除が定められており、現在VATのオンライン提出義務から免除されている個人・ビジネスについてもMTDの免除が適応されることになります。

VATデジタル化の開始は間近です。準備はできていますか?

MTDは2019年4月1日より適用となります。VAT登録事業者で更に課税対象の売上高がVAT基準額を超える企業は、当該開始日以降最初のVAT期間よりデジタル形式のVAT取引記録の保持とMTDに対応可能なソフトウェアを用いたVATリターンの提出を義務付けられます。そのためにはスプレッドシートやHMRCに接続可能なMTD対応ソフトウェアやブリッジングソフトウェアを使用してビジネス記録をデジタルに保存する必要があります。

所得税のデジタル化も追って開始されます

所得税のデジタル化もまた2020年以降に義務化が予定されており、それに加わる企業および不動産オーナーはMTD対応ソフトウェアを使用してに四半期ごとの収入と経費のサマリーをHMRCに送る必要があります。

それに先立ちHMRCはこの春より所得税デジタル化の本格開始に向けて試験的プログラムを開始しております。MTDの準備に伴いトライアルプログラムに加わることを検討してみるのも良いかもしれません。

P&CoはクライアントがMTDに対応できるよう手助けする訓練を受けています、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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